「相続のトラブルは、お金持ちのハナシで、うちには関係ないや。」
と誰もが思いたいのです。
だって、誰かが亡くなることを前提のハナシなので、とてもしづらい話だからです。
ところが、家庭裁判所での調停の約4分の3は、遺産が5000万円以下なのです
でも、裁判所での相続の調停は年々増えて12000件を超えており、調停が不調(=うまくいかない)な場合、審判に移りますが、この件数は2000件を超えています。
仲の良かった三人兄弟が、遺産のためにすれ違うハメに
お父さん
お母さん(既に亡くなっている)
長男(お父さんと同居中)
次男
長女
自宅
預貯金
日頃からお正月・誕生日など、事あるごとに集まっていた家族。
とても仲が良いので、お父さんは「あとは子どもたちの間でうまくやってくれるはず」と思っていました。
長男夫婦はお父さんの面倒を見ていました。
日頃、次男と長女は「いつも父さんのこと、ありがとね」と感謝の気持も伝えていました。
「面倒を見ているのだから」と、長男夫婦は、家と土地は貰えるものと思っていました。
お父さんが亡くなられ、葬式だなんだかんだとバタバタしていたのが一段落ついた頃、「遺産分けの話を」と長男から切り出しました。
長男は「お父さんと最後まで同居までしたのだから、家と土地は貰える」
という腹づもりで臨んだ話し合いでしたが・・・。
ところがです。
次男と長女から、思わぬ話が飛びだしました。
「父さんの面倒を見てくれていたのはありがたいが、その分、ご飯をごちそうしてもらったり、孫の援助なども受けていたはず。
なので、法定相続通り3等分するのが筋でないか?」とのこと。
どれだけ長男夫婦は、大変な思いをしたか。
「病院の心配やら、洗濯やら、上げ膳据え膳だったお父さんの面倒を見るのは、同居するのは、どれだけ大変かわかっているのか?!」
と長男夫婦は憤慨もしましたし、とても残念に思ったそうです。
どうしてお父さんが亡くなる前は、仲が良かったのに、こうなってしまったのでしょう?
実は、次男の営んでいる事業の資金繰りが厳しくて「この機会に何とかならないか?」と思ったり、
長女は長女で子供の学費を何とか捻出したいと思ったようです。
それはそうでしょう。
最近の日本の経済状況、ここ20年ではガラリと変わりました。
確かにみんなにそれなりの事情があります。
喉から手が出るくらい遺産が欲しかったのでしょう。
解決策
こんな時、水戸黄門の印籠の様にみんなを従わせるのが「遺言書」です。
お父さんが亡くなる前に遺言がきちんと用意されていればトラブルにならなくてよかったというケースが多く存在するのも、また事実です。
ご自身に万が一のことがあった際のことなんて、誰だって考えたくないものです。
ですが、「あとは子どもたちの間でうまくやってくれるはず」と人任せにしてしまうことは、
遺された方々を不要なトラブルに巻き込んでしまう可能性を残すだけです。
「子どもたちが仲良く助けあって暮らしていって欲しい」と思うのであれば、
お父さんの「遺志」である「遺言書」が一番有効なのです。