いまや3組に1組が離婚する時代。
小学校のクラスでも、シングルマザーのおうちはそんなに珍しくなくなってきています。
なので、相続の場面でも、初婚で設けた子供と、再婚で設けた子供との間でバトルになるなんてことも多く出てきています。
では、こんなケースはどうなるのでしょう?
前妻との間に子供が一人、後妻との間に子供が二人のお父さんが亡くなった場合
お父さんは、離婚歴があります。
先妻との間に1人子供をもうけていました。
お父さんが亡くなったことを聞きつけた先妻は、子供にはもらう権利があるはずだ!と主張します。
お父さんは、生前、前妻さんの話はしないで、後妻さんである今の奥さんと子供と仲良くやってきました。
それなりの「手切れ金」も払っているので、もう関係ないともいっていました。
なので、後妻さんと、その子供二人は「ここに遺言がある!あなた達にあげる遺産はない!」と主張しました。
しかし、前妻さんは「遺留分というのがあるのよ!」と主張を曲げません。
「いりゅうぶん??」
後妻とその子供二人は首を傾げました。
本当に、前妻の子供に、前のお父さんの財産をもらえる権利があるの?
あるんです。
遺留分というのが民法にあります。
その内容は、一定の相続人が最低限の相続ができるといった内容です。
例えば、お父さんが愛人にすべてを相続させたいという遺言書を残していた場合、こんな理不尽な遺言はありませんよね?
なので、奥さんや子供に最低限の相続の権利を保障する、それが遺留分なのです。
ちなみに、民法では下記のように規定されています。
遺留分
1.配偶者のみ 1/2
2.配偶者と子供 1/4ずつ(合計1/2)
3.子供のみ 1/2
ちなみに、相続という性質上、亡くなった人の親が相続するということは少ないのですが、亡くなった人の親も相続の遺留分の権利が認められています。
兄弟はどう転んでも、遺留分はありません。
例えば、4人兄弟の長男夫婦(子供のいない)の長男が亡くなったとき、先祖代々の土地は、長男の嫁さんが法定相続的には全部もらうことになるのです。
いくら兄弟たちが「よこせ」といっても、その権利はないのです。
長男でお子さんのいない旦那さんは、奥さんが自分が死んでから他の兄弟からいろいろ横槍が入らないように、くれぐれも遺言なり、もしくは兄弟たちが納得するような段取りをしておくことが自分のいない後の奥さんの心の安寧があるというものです。
どうしても自分の生まれ育ったところのことだと、兄弟たちも思考に冷静さを欠いてきます。
でも、そもそも相続する財産って、自分の築き上げてきた財産じゃないですよね?
それをさも自分のものだというのは、差し出がましいとも言えるのでは?
長男夫婦は、ただのほほんとやっていれば言い訳ではありません。
親戚関係の冠婚葬祭など、そのような社会的な窓口を一手に引き受けているということは、そのときそのときのお金の負担も発生しているということ。
欲目に駆られてはいけません。
冷静になってくださいね。
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