更新日2017/06/30 この記事は約 4 分で読めます。

【こんな生前贈与もある】祖母から孫への「株」と「資金運用の心得」

孫

「孫に生前贈与をしたいけど、どんな方法がいいのかしら?」
と思っているおじいちゃんおばあちゃん。

実例で、こんな方法がありました。

生前贈与の方法~とある下町のおうちの話

商売をしてきたおばあちゃんの孫が、結婚することになりました。
実はこのおばあちゃん、孫のために、東京電力の株を買っていました。
その株を「嫁入り道具に」と、持たせました。

孫は、てっきり鍋釜などを嫁入り道具にもらうのかと思ったら、なんと株!
さらに「自分名義でこんなのがあるなんて!」とびっくりです。

さあ、いったいどんな内容なのでしょうか?

おばあちゃんから孫への生前贈与

具体的にはこんな内容です。

祖母:商店運営
孫:もうじき結婚する28歳女の子
贈与する株:東京電力

おばあちゃんは、孫にこんな話をしました。

今、手元にあるのは、東京電力が200株。
当時1株2300円だったので、評価格は46万円。
おばあちゃんは、孫に株のチャートを見せて「2500円で売って2000円で買うということを繰り返しなさい」と言いつけました。

株

株なんてやったことのなかった孫は、言いつけを忠実に守るしかありませんでした。

孫は結婚後、まだ今ほどネットが使える時代ではなかったので、新聞で株価を見て、証券会社に電話して売買注文をしていました。
株を売ったり買ったりで、それなりに利益が出ていました。

さらに、もうひとつおばあちゃんの孫への言いつけがありました。
「絶対にダンナには持ってるとは言わないこと」

まさに山之内一豊の妻。
こんな「知恵」まで生前贈与していたのです。

実はこの話は、20年前の話なので、ちょっと参考にならないのです。

でも、方法としては普遍的なものです。
今でも十分に使えます。

孫が肝に銘じておくべき「言いつけ」と「相続対策」と「現代株事情」

東京電力はご存知のとおり、20年前の状況とは違います。
ですので、現代風にアレンジしました。
さらに普遍的なこともありますので、それらをまとめました。

1.「硬い株」で運用する

「硬い株」ってなんでしょう?
今で言えば、ソフトバンクなど、事業内容(携帯電話の会社)が「社会のインフラ」に近い銘柄などで、同じようなことができます。
トヨタなども、高配当でお勧めです。

2.売り買いの値幅を決める

その株の直近3年間、たとえば今のソフトバンクであれば、7800円で買って8300円で売る、もしくは8300円で買って8800円で売る。
どちらも500円の値幅がありますので、100株買えば5万円の利益になります。

3.今はジュニアNISAがある!

これは、逆に20年前ではできなかったことです。
政府がタンス預金を運用してもらうと、株の売却益に対して本来だと20%かかる税金をNISA口座ならかけませんよ!としている制度です。

以前は成人の口座でしかできませんでしたが、2016年からスタートした制度で、出来立てホヤホヤです。
利益が非課税の「ジュニアNISA」の制度が使えるのは年間80万円までですので、株だけであれば後述の「暦年贈与」の手前の金額で抑えられます。

4.孫に知らせておく

孫が「もらった」おばあちゃんから「あげた」というお互いに確認がないと、その年度の贈与という認識されません。
書面まで起こすことはないですが、その旨を孫に伝えておくことは大事です。

5.譲渡枠は、一人110万円/年(暦年課税)

「そんなこといっても、贈与税とか掛かってくるんじゃいの?」
はい、金額によっては掛かります。
でも、年間110万円以下ならかかりません。

暦年課税という制度があるのです。
年間110万円以下に抑えるということをしっかり抑えておけばOKです。

この孫は今どうなっている?

だんなに内緒
おばあちゃんの言いつけを守り、200株を2000円で買い、2500円で売るというサイクルを繰り返していました。
つまり、そのサイクルでも10万円の利益が出るのです。

しかも、配当も良かったので、黙っていても年二回、だんなに内緒でお小遣いをゲットできるということです!
年間で1株につき60円ということは、100株で6000円、200株で12000円です、1000株で6万円です。
1株あたり配当金の推移

しかし、東京電力は福島第一原発の事故で、株価は一時10分の1になり、配当も出ない状態です。
孫は、たまたま売却していたタイミングだったので、その孫は損害を受けませんでした。
「この資金どうしよう・・」としばらく証券会社の口座に現金で放置していました。

でも、とあるときに、ペッパー君デビューの発表をしていたソフトバンクの孫社長を見て「これはいい企業だ!」と思ったようで、ソフトバンクの株を買い始めます。

現金化していた資金を使ってなくてほんとによかったと思いました。
8300円で買って8800円で売るという運用をして、利益だけを使うようにしました。

昔流行った本、「金持ち父さん貧乏父さん」にもありましたが、「お金に働いてもらう」のです。
株というとどうしても怖いというイメージがありますが、50万円投資して0になるなんてことはめったにありません。
勉強して、どんな企業がいいか?どんな会社がすきか?どんな企業を応援したいか?を考えて、さらに株価の動きを見れば、怖いものではありません。

むしろ怖いのは「もっと儲けてやろう」「もっと値下がりするはずだ」と思う自分の慢心です。
最初に売り買いの値幅を決めて、その中で運用する。
その孫は「投資の心得」までおばあちゃんからに相続したことになりますね。

また、値幅だけでなく、配当を当てにするというのもあります。

ものやお金だけでなく「知恵」をも相続する、これは消耗しなくていいですね。