更新日2017/08/29 この記事は約 3 分で読めます。

相続トラブル実話:病気の父親に30年仕送りした兄。姉と妹に土地はやらなくて良いと言われたが

田舎

「田舎のお父さんの家、亡くなったら俺が貰うんだ」
そう思ってタカをくくっている、あなた。

そうは問屋が卸さなかった衝撃の事例をお伝えします。

相続トラブル実話:「父親に30年仕送りしたし、田舎の家は俺のもの」の一部始終

70歳のBさんはメーカーを60歳で退職し、今は都内のマンションに67歳の奥様と二人暮らしをしています。
2人の子どもはすでに独立しています。
実はBさん、サラリーマン時代も楽な暮らしではありませんでした。

なぜか?
病に倒れたお父さんに「仕送り」をしていたからです。

お父さんは50代後半に脳梗塞をわずらい、麻痺が残り仕事ができなくなってしまいました。
Bさんは当時30歳でしたが、毎月実家に仕送りをするようになりました。
Bさんには姉と妹がいますが、二人とも専業主婦でしたし「自分が両親を支えなくては」と思いから、頑張りました。

自宅のローンもあり、苦しい家計でした。
仕送りは、定年まで30年続けました。
総額は3000万円。

定年後の生活は、つつましくも日々の生活に不満はありませんでした。
こども達が孫が連れて遊びに来ると、おもちゃを買ってあげるのが楽しみだったそうです。

そんな何の変哲もない老後の生活が想定外の方向に進み始めたのは、6年前のことです。

お父さんの死がキッカケでした

通夜

お通夜の席でのこと。

Bさんのお姉さんの旦那が「親父さんの家と土地は処分して、早く分けてくれ」と言い出しました。
Bさんは「仕送りをしてくれた代わりに、この家と土地はお前にやる。姉と妹にはやらなくていい」とお父さんに生前に言われてことを話しました。

すると、妹の旦那が「そんな口約束は関係ない。法的な権利はあるんだ」と言い始めるじゃありませんか。
前から、打ち合わせでもしていたかのように・・・。

Bさんは、それまで姉と妹と義理の兄弟とは仲良くやってきてきたのです。
それなのに、まさかお父さんのお通夜の日にこんな事を言ってくるとは、予想だにしませんでした。
「お金が絡むと、人は豹変するものなんだ・・」と改めて実感しました。

お母さんは泣くばかりで、話し合いは進みません。
その後、「とりあえずの手段」として母親にすべて相続する形を取ることになりました。

まさかこんなことになるなんて・・・辛すぎる現実

「いつか親父の家を売ればいい」考えていたBさん。
貯金は、ほとんど残っていません。
この時、自分の置かれている状況がかなり厳しいことに気づきました。

1日3缶飲んでいたビールも、発泡酒に変えて週に1回、1本だけ。
でも一番悲しいのは、お孫さんが来る頻度が減ったことです。

入園祝いや誕生日プレゼントも、ままなりません。
たまに遊びに来ても、食事代を息子夫婦に払ってもらうことになります。
外食をして、孫に「好きなもの、どんどん食べな!」と言ってあげられないことが寂しくてしょうがないそうです。

「子育てと会社勤めからようやく解放され、第二の人生を穏やかに過ごしたい。」
誰もがそう思います。
でも、その原資を親の資金に頼るのはNGです。

相続トラブル実話の教訓

一筆
「親父に資金援助をしたんだから、その見返りを貰うのは当たり前、当然」と思いたい気持ちは分かります。

「そんな口約束は関係ない。法的な権利はあるんだ」というのはどういうことでしょう?

遺言書がない場合、法定相続人(この場合、お母さんと兄弟姉妹3人)全員が納得しない限り、口約束のお父さんの遺志は反映されないのです。
お姉さんと妹が自分の取り分(遺留分)を請求したら、法律的に有効なのです。

ならば、一筆、お父さんに遺言書を書いてもらうべきでした。
そのためには、Bさんは相続に関しての知識を少しでも得るべきでしたし、それをお父さんに伝えるべきでした。