母はすでに他界していて、この度、父親が亡くなりました。
相続人は兄と自分と弟の3人です。
ですが弟は家出をして、音信不通になっています。
弟には遺産が入るのでしょうか?
弟を除いて兄と自分とで遺産分割協議してもいいのでしょうか?
といった質問から、行方不明者の遺産相続について見ていきましょう。
弟も法定相続人であることには変わらない
弟は法定相続人ですので、兄と自分だけで遺産分割協議はすることは出来ません。
兄と自分だけで話しをまとめていても、それは無効となります。
行方不明者の手続き
行方不明者がいる場合は、1から順番に解決していきます。
2.不在者財産管理人を選任する
3.失踪宣言をする
戸籍の附表
行方不明者の居場所を探すとなると、まずは戸籍の附表を取り寄せることから始まります。
弟がどこかで生きていたら、戸籍は除票とはなっていないはずです。
このことで、弟の生存確認が出来ます。
戸籍自体には住所は載っていませんが、戸籍の附表であれば住所の移転履歴が見られます。
それによって、弟の戸籍をたどっていかれます。
それでも分からない場合は、両親の戸籍からでも現在の本籍地が分かるので、そこから戸籍の附表を取り寄せることになります。
連絡方法
そこで弟の現住所が分かったら、近ければ直接会いに行くことも出来ますし、手紙を送ってみるのもいいかと思います。
遺産があるので兄弟間で分割協議をしたい
などを簡潔にまとめて伝えてみましょう。
ここまでの作業を経ても、弟の連絡先が分からない場合は、次からの記事を参考にして下さい。
不在者財産管理人を立てる
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家庭裁判所などに「不在者財産管理人」を申し立てることになります。
そこで選任された人が、弟に代わって財産管理を行うことが出来るようになります。
この「不在者財産管理人」は、兄と自分が誰かに頼んでいいものではなく、家庭裁判所で申し立てて選んでもらうしか道はありません。
「不在者財産管理人」が、兄と自分に混ざって、遺産分割協議に参加するということは、基本出来ません。
じゃあ、どうやって話し合いを進めていくのか?
それには、「不在者財産管理人の権限外行為許可」を申し立てます。
これによって初めて、不在者財産管理人であっても、遺産分割協議に参加する権利が発生します。
失踪宣言
ここまでご紹介してきた方法は、弟が生きていること前提での話しです。
全く音信不通で、もう何年も行方不明になっている場合は、災害や事故に巻き込まれて死亡している可能性も考えなくてはいけません。
一般的には普通に生活していて7年以上生死が分からない場合は「普通失踪」として。
災害、事件で1年以上生死が分からない場合は「危難失踪」として、「失踪宣言」を家庭裁判所に申し立てます。
失踪宣言が認められて、もし弟に子どもがいた場合はどうなるのでしょうか?
弟の子どもは、兄と自分と一緒に、遺産分割協議に参加することが出来ます。
もちろん、財産を代襲相続することが出来ますよ。
ですが、もし失踪宣言した後で、弟が生きてることが分かった場合は、失踪宣言は取り消すことが出来ます。
既に遺産分割が済んでいれば、そのままでいいのですが、失踪宣言が取り消された時点で、まだ兄と自分に財産が残っていれば、それは弟に渡す義務があります。
とは言え、兄や自分が使ってしまったお金などまでを、弟へ渡す義務はありません。
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まとめ
家族に行方不明者がいると、相続に関しては手続きが大変です。
ですが、行方不明者がいるからと言って、相続に関してうやむやにしてしまうと、後々もっと複雑な問題に発展する可能性もあります。
相続問題が発生したら、弁護士さんを頼ってもいいのでは、と思います。