更新日2016/04/20 この記事は約 4 分で読めます。

贈与税で、2500万までの時に使える「何とか制度」って何だっけ?

えーと

「あのさあ、あの、贈与税で2500万円まで非課税の制度って何て言うんだったっけな?」
相続に限らず、法律に関する用語は、漢字が続いているものが5文字以上になると、なかなか覚えられませんし、覚えたとしてもなかなか意味を理解するまでには根気が必要です。
「何だかお得だ!!」という印象は頭の残るのですが、単語が覚えられない、思い出せない・・・ということがありませんか?

その非課税な制度って、一体・・何なんでしょうか?

「相続時精算課税(そうぞくじせいさんかぜい)」です。
贈与税の非課税枠は2500万円です!

名前が分かりずらいことと連動して、仕組みも分かりずらいので、利用する人が少ないのが現状だそうです。

平成27年1月より、改正されました。

そもそも贈与税の種類は?

「贈与税」の課税には2種類あります。
財産の贈与が行われた場合、その翌年の3月15日までに贈与税の申告をする必要があります。

1.暦年課税(れきねんかぜい)

毎年110万円までは申告不要・贈与税がかからないものです。
110万円を超したところから贈与税がかかってきます。

2.相続時精算課税(そうぞくじせいさんかぜい)

「相続時精算課税」を選択した場合、まず贈与時に贈与税を納めます。
贈与者が亡くなった際に、贈与財産を含めて相続税を計算し、この相続税とすでに支払っていた贈与税との差額を支払う(もしくは還付を受ける)ことになります。
要は「相続税の仮払い」のようなものです。

「相続時精算課税」の概要

「暦年課税」は「あげる側」(贈与者)と「もらう側」(受贈者)関係を問いません。
が「相続時精算課税」は違います。
一定の直系の親族の間の贈与に認められた「特例」なのです。

1.2500万円までは「贈与税が非課税」

もらいやすい
2500万円までの贈与には贈与税がかからず、2500万円を超える部分に20%の贈与税が課されます。
贈与財産の種類、金額、贈与回数、年数に制限はありません。

2.「あげる側」(贈与者)と「もらう側」(受贈者)の条件が厳しい

「あげる側」は60歳以上の親または祖父母、「もらう側」は「あげる側」の推定相続人である20歳以上の子または孫です。
またあげる人(贈与者)ごとに使えるので、例えばお父さんからは暦年課税、お母さんからは相続時精算課税とすることもできます。

3.一度「相続時精算課税」を選択したら変更できない

「相続時精算課税」を選択した場合は、それ以降の贈与は暦年課税を適用できません
「やっぱり年間110万まで非課税の『暦年課税』に戻そう!」というわけにはいきません。

4.将来、相続が発生したときに「精算」します

贈与者の相続時は、「相続時精算課税」での贈与財産を加算して相続税を計算し、この相続税といったん支払っていた贈与税との差額を支払います。
還付を受けることもあるのです!

相続時精算課税のメリット・デメリット

まずはメリットから

一度に多額の贈与ができる

2500万円までは贈与税がかかりません。
2500万円を超えたところからは、一律20%の贈与税がかかります。

財産移転がスムーズにできる

つながる
相続税対策にはなりませんが、早期に多額の財産を移転できます。

収益物件の贈与なら相続税対策につながる

収益物件、つまり、利益を生むビルやアパートなどの贈与であれば、贈与後の利益は贈与してもらった人(受贈者)のものとなるので、贈与者の財産が増えないので間接的な相続税対策になります。

値上がりする見込みの財産を贈与するには有利

値上がりする財産であれば、早く渡せば値上がり分の相続税は払わずに済むわけです。

分けにくい財産でも生前に移転が可能

相続時に遺産分割協議が難しい財産も生前に移転できます。

相続税精算課税のデメリット

一方、デメリットもあります。具体的には次のとおりです。

一定の直系親族間の贈与に限られ、かつ年齢制限がある

お父さんおじいちゃんお母さんおばあちゃん、子供孫までです。
あげる側は60歳以上、もらう側は20歳以上。

金額にかかわらず贈与税の申告が必要

あとから戻ってくることもありますが、最初は贈与税を納める必要があります。

贈与財産は相続時に小規模宅地等の特例が受けられない

「小規模宅地等の特例」が受けられる場合は、この制度だと損する可能性があります。

贈与財産は相続時に「物納」できない

相続税が現金で納められずに物納するしかない場合は、この制度は使えません。

その贈与者からの贈与は暦年課税に戻せない

途中で暦年贈与には戻せません。

不動産の贈与の場合、移転コストが高い

相続であれば登録免許税0.4%のみですが、贈与の場合は登録免許税は2.0%となり、また別に不動産取得税もかかります。

デメリットを見ると、素人では到底判断のつかないことです。
そういう制度があると知った以上、自分たちの場合はどうするのがいいのかは、専門家の知恵を拝借するほうが賢明です。