少し相続のことがわかってくると、気になることがあります。
「遺言って、絶対なのかしら?」
もしも遺言に、本来相続できる人(遺留分がある人)に相続させない場合・・・
たとえば、親の財産を子供が一銭も相続させないという遺言が出てきたら、その子供は泣き寝入りするしかないのか?
「でも、奥さんや子供には『遺留分』っていう貰える最低限の分け前が決まっているというのを聞いたわ。」
さあ、「遺留分」と「遺言」、どっちが優先順位が高いのでしょうか?
「遺留分」が優先されます
「遺言」と「遺留分」では、「遺留分」が優先します(民法902条1項但し書)。
「遺留分」の権利を行使するためには、遺言の内容を知ったときから1年以内に「遺留分減殺請求権」を行使する必要があります。
「遺留分減殺請求権」とは遺された者の生活やそれまで一緒に気づいてきた財産を最低限度の得る権利で、民法で定められています。
通常、内容証明郵便にて意思表示を行います。
遺留分を侵害された相続人、つまり、奥さんや子供、親御さんが「遺留分減殺請求権」を請求すると、
遺留分を侵害している者、例えば極端な例ですが全財産を託された愛人などは、侵害している遺留分を「遺留分権利者」、つまり奥さんや子供に返還しなければなりません。
実際の金額をめぐっては、訴訟になるケースも多く見受けられます。
ちなみに、遺留分があるのは誰?
遺留分がある人
子供
配偶者
父母
身内でも遺留分がない
兄弟姉妹
兄弟姉妹同士は、遺留分を主張する権利はありませんので、知っておくことが大事です。
割合は?
1.奥さん(配偶者)子供
2.奥さんと子供
3.奥さんと親
上記の場合、1/2が「遺留分」です。
要するに、「半分は身内に残さないとだめ」ということです。
期限は?
相続が開始したタイミングか、減殺すべき贈与や相続があったことを知ってから、1年間で消滅時効にかかります。
相続は、遺留分のことに限らず期限のある事項が多くあります。
それを日ごろから知っておくことが自分の糧になります。
そもそも死人に口なしです
もちろん遺書を書いて自分の意向を残すことはできますが、遺言を残した本人、つまり亡くなった人が手出しできるわけではないので、
遺された者が話し合うことが基本です。
もちろん、民法での線引きがありますが、相続人全員の同意があれば、みんなで決めたことが優先されるのです。
とはいえ、遺言が遺留分とかけ離れていれば、トラブルが起こりやすく訴訟になるケースも多々あります。
遺された家族が自立していれば、路頭に迷うことはありませんが、経済的に依存している子供や奥さんがいた場合は、死活問題になります。
そんな人たちの生活を守るために、遺留分があるのです。
自分が亡き後、遺されたものたちが寝食に困らずに生活していくためにはどうしたらいいか?を念頭に遺言を書くべきです。
若い女の子にそそのかされて、遺言書を一時の気の迷いで書いてはいけません。
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