相続というと、資産が転がり込んでくる的なイメージがとかく先行しがちです。
ここ20年間「失われた10年」のために、家庭資産のバランスは以前のものとは違ってむしろ負債のほうが多いというケースもままあります。
そんなときに、やむを得ず相続放棄しなくてはならないケースもあるでしょう。
相続放棄には、知っておかなくてはならないポイントが4つあります。
「知らなかった」では、済まされません
知っているだけでも、自分にプラスの情報になることが必ずあります。
気をつけることなどを、まとめました。
3ヶ月以内に申述(しんじゅつ:申請のこと)しなかった場合は、「単純承認」したものとして見なされます
「単純承認」とは、「プラスの遺産もマイナスの遺産も全て受け入れますよ!」ということです。
「忘れていた!」では、通りません。
期限を意識して、決断をしていきましょう。
相続放棄は、それぞれの相続人が「単独」で行います
相続放棄した人は「最初から相続人ではなかった」ということになります。
それぞれの立場の大人たちが、自分の利害と照らし合わせて判断しなくてはなりません。
まとめてでなく、兄弟であっても、各々が判断して、各々が「申述」しなくてはなりません。
「遺産分割協議書」や、相続人の間で「相続を放棄する」と言っただけでは、効力はありません
「遺産分割協議書」とは、法定相続人全員での話し合いで決めたことを列挙した書類です。
そこで「放棄します」と高らかに宣言しても、残念ながらそれは「相続放棄」したことにはならないのです。
家庭裁判所で「放棄します!」と宣言、裁判所の言葉で言うと「申述」を指定の書式を持って宣言しないと、法的には認められないのです。
「相続放棄申述書」という書類を添付書類とともに提出、受理されて始めて「相続放棄」が認められるのです。
その手続きを怠ると、「単純承認した」と見なされます。
もしもマイナスの遺産が多かった場合は、法定相続分については債務の負担義務が生じます。
遺産を金輪際、相続したくない場合は、必ず家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出しましょう!
相続開始前の相続放棄は認められていません
気持ちは分かりますが、相続開始前、すなわち被相続人が亡くなる前から相続放棄は出来ません。
借金まみれだったり、明らかに「争続」になりそうな場合、そうしたくなる気持ちはとても良くわかります。
でも、残念ながら法的には認められていません。
分からないことがあったら、とにかく確認を
知らなかったでは済まされません。
でも、当事者になって初めて知るのが相続です。
ですので、例えば知人や親戚がなくなったとき、「どうなっているのか?」とか、少し後学のために聞いてみるのもいいのでは?
専門家に相談するのが、実は一番の近道かもしれません。
また、法テラスという、国が設立した法的トラブルの解決窓口もあります。
困りごとに応じて、問題を解決するための法制度や手続き、相談窓口を無料で紹介してくれます。
経済的に余裕のない人には、無料法律相談もあるとのこと。
これは使わない手はありません。
相談料は無料で、3分8.5円(全国一律)の通話料で相談できるので、気軽に相談できます。
とにかく、「分からない」ところから「分かる」への一歩を踏み出すことが大事です!