待望の第一子が生まれ、これから先のことを考えて、生後三ヶ月で作った貯金通帳。
お父さんが息子が生まれた時からコツコツためていた預金が
月2万円が1年で24万、10年で240万、30年で720万円になっている。
22歳で就職したときに、渡そうと思ったけど、働く意欲がそがれてもまずいし、まさに山之内一豊の妻ではありませんが
「何かあった時のために・・」と用意している親御さんは、多いのでは?
子供のことを案じない親など、いません。
どの家庭にも、多かれ少なかれ「善意の隠し財産」があると思います。
もうお父さん的には「自分の資産」という感覚はありません。
でも、「贈与」は「あげる」だけでは成立しません。
お父さんの「あげる」に、息子の「確かに頂戴しました、ありがとうございます」というお互いの合意があって成立します。
「贈与されていないもの」は、お父さんの「財産」という扱いになります。
税務調査は、このような「名義預金」も見逃してくれません。
「これはお父さんの財産でしょう?」と指摘されることは実は多いのです。
例えば、亡くなったお父さんの机を整理していると、名義が自分(息子)の通帳が出てきたら?
その残高はなんと、1000万円!
「その通帳は娘の教育資金に充てさせてもらおう」
他の通帳と別にして、自分がもらうことにしました。
実際はどんな感じ?税務調査官が来たときの一部始終
税務調査官がやってきました。
みんなカチカチに緊張して出迎える一方、調査官たちはにこやかに接します。
迎えた側は、気が緩みます。
まず、「お父さまってどういう人だったんですか?」雑談から入り、気の緩んだ相続人から情報収集をします。
相続人は、「看病の労苦を労われているのか?」と勘違いするような穏やかな物腰で、入院していた病院や期間を聞き出します。
調査官は、そのような話からお金の出入りのあたりをつけます。
「どんな趣味があったんですか?」と聞かれれば、「ゴルフです」と思わず答えてしまう相続人。
調査官は「ゴルフの会員権があるはず」などと推測します。
本題に入って「お父さまは、ご家族のために車や宝石を買ってあげたのでは?」
すると、相続人は「いえいえ、父は本当に堅実で何ももらえてません」と切り返します。
お昼をまたいで、午後一番に調査官が切り出します。
「少し調べさせてもらったのですが、息子さん名義の口座がありますが、なぜ財産目録にのっていないのでしょうか?」
例の1000万円の通帳です。
あなたならどう切り返しますか?
OKな例
贈与は口約束でも成立するので「私は父にその口座の話を聞いたとき、もらうといいました。」
認められれば、贈与されたものとされます。
NGな例
「それはもらったものです!」
「何ももらえてませんって言ってましたよね?」
こうやって切り込まれます。
税務署は、銀行の口座を調べてから調査に挑みます
税務署はすべての銀行預金を把握している訳ではありませんが、
申告書に記載された銀行にある預金で家族名義のものは、通常「調査済み」で現場に挑みます。
「お父さまの通帳は、どこに保管されていましたか?ご家族のものも含めて、今ある通帳類を全て出して下さい」と言われて
「ありません」とか「知りません」は禁句です。
調査官はだてにキャリアを積んできていません。
協力的な態度をとるのが望ましい戦略です。
スムースな会話やりとりは、調査官がいろいろなパターンを考える時間を与えません。
そのためには、準備が大事です。
へんな言い方ですが、税務調査に必要以上にドキドキする必要はありません。
正当な理由、たとえば「これは10年前、私(配偶者)の父の相続の時、私がもらったものです」とか、
「結婚前に仕事をしていた時の貯金です」ですなど、ひるまず答えることが大事です。
ただし、贈与にも一定額(年間110万円)以上になると課税されます。
さらにさかのぼると、平成13年以前は年間60万円だったので注意が必要です。