更新日2015/11/16 この記事は約 3 分で読めます。

【相続トラブル実例】口約束は通用しないのが「相続」です。兄さんがお金くれるって言ったのに・・

妹と兄

「兄さんが、お金くれるって言ってたのに・・」

父がなくなった後、相続の話し合いをしていたときに兄が耳打ちしてくれた言葉。
でも兄さんのお嫁さんのせいでそれがかなわない!

「私」は、どうしても合点がいかなくて弁護士さんに相談しました。

家族構成

私:65歳
旦那:65歳
長男:39歳(独立している)
長女:37歳(独立していない、同居している)

兄:68歳
兄嫁:63歳
長男:35歳

相続財産

建物と土地:1億3千万円
株:300万円
現金:300万

経緯

兄嫁

3年前に父が亡くなりました。(母はその前に他界)
兄夫婦は父と一緒に店をしていました。

お金のことは、兄嫁がすべて仕切っていて、相続の窓口も兄嫁です。
「お父さん、お金持ってなかったから」と、兄嫁は通帳も見せてくれません。

ちなみに、現金の300万円は、100回払いで月3万円を払うとのことで、今まで150万円もらっています。

兄には、相続の話し合いのときに、「わしがお金をやるからね」
(いくらくれるか?までは、言わなかった)と耳打ちされました。
そんな兄が、最近具合が悪く、病気になりました。

「もしこのまま兄が死んだら・・・」と思ったので、「お金やるからね」のことを確認しました。

ところが・・・。
兄も「え?そんなこと言ってないよ、覚えてない」
兄嫁も「不動産を売ってまでは、あなたには上げられない」
口約束だから、だめなのかな?
その実効性はないのでしょうか?

相続税の申告をして、相続自体はすんでいます。
兄嫁に言われるがままはんこも押ししました。
そして、私の相続税分の5万円弱の相続税の納付も済んでいます。

すべて窓口は「兄嫁」でした。

口約束は有効かどうか?弁護士さんに相談しました。

弁護士さんからのアドバイス3つ

そろばん

1.相続税の申告用紙の写しをもらうこと

自分の相続分だけでなく、全体の相続税の申告用紙をもらっておくべきでした。
全体像が見えれば、納得もいくはずです。

2.どういう趣旨で「上げる」といったのか?

「別に上げるからね」とお兄さんが言ったということですが、
「お父さんの相続分から上げるからね」だと、それはお兄さんが税金を収めた上でくれるお金なわけです。
自分のほうに税金がかかるわけですから、普通はしないことだと思います。
「嫁が仕切ってかわいそうだから、自分の分をお前に上げるよ」という方が客観的にはわかりやすいです。
「そのうち、いくらかを、どうする・・・」と贈与の対象物が闇の中な話です。

贈与は口頭によるものだと、いつでも取り消せるということになっていて効力が弱いのです。

お兄さんが、言ってない言ってるのは、忘れているのかとぼけている
もしくは、お嫁さんの手前、言えなかった可能性があります。

3.お兄さんに子供がいるので、法定相続的には「私」には関係ない

仮にお兄さんが亡くなったとしても、この場合、法定相続では兄弟姉妹には相続権がありません。

口約束の相続:結論

「権利」として「あのときの約束を守ってください」というには証拠がなさすぎるのです。
客観的な事情と整合性が取れていないのです。
相続については申告してそれぞれ相続税を払ってしまっています。
根拠も証拠も乏しいので、裁判持ち込むことも難しいケースです。

口約束の相続:教訓

結論から言うと「高い授業料」だったということです。

私は「時間がないので早く進めたい」と兄嫁に言われ不満だけれど、はんこを押してしまったのです。
「がめつい」って言われるのは、いやなのです。
「いい顔」してしまったわけです。

お兄さんも同じような性格なんです。
みんながいい顔したいのです。

いい顔することで、収めてきた節があります。
みなが八方美人だと、トラブルの種をまきます。
その場のいい顔は危険です。

違う言い方をすれば、ここで学んだんだからよかったのです。
これからは、言いたいことをお互いに言って納得して解決するようにしましょう。
学んだので、これ以上「いい顔」をしないようにすればいいのです。