更新日2017/08/29 この記事は約 3 分で読めます。

【相続トラブル実例】子供のいない夫婦は奥さんに全額相続できないの?

夫婦二人

ある日付き合いのない叔母から相続の事で電話が…

何年か前に、実際にあった出来事です。

夫の父親は、彼が中学3年生のときに亡くなっています。
ある日、全く付き合いのなかった伯母から連絡がありました。
伯父が亡くなったので、書類を送るからハンコを付いて送り返してほいしとのこと。
言われるがままハンコを送り、戻しました

この時は、何のことらやさっぱりわかりませんでしたが、後述の話を聞けばなるほど納得です。

●結婚しているけど子供はいない
●自分は兄弟姉妹がいる

必ず関係してくる話ですので必見です。

あの叔母の電話は一体どんな要件だったのか?

亡くなった叔父に子どもはいませんでした。
早くに父親が亡くなった為、本来伯父の「弟」である「夫の父」が相続するはずだった権利が、移ってきたのです。
これは「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」と言います。

このときは、たまたま貰えるほどの遺産がなかったから良かったようなものの、これがそれなりのお金持ちであれば、貰えるものは貰おうと、つい欲張ってしまったかもしれません。

このことから学ぶ、子どものいない夫婦の相続

子どものいない夫婦は、きっとこう思っているのは?
「相続での揉め事?子どもたちが絡んでくるはなしが多いようだから、子どものいないウチには関係ない」

いやいや、子どもがいないからこそ、起きてくる揉め事があるのです。
意外なところに相続人がいるのです。

一体、子どものいない夫婦の相続はどうなるのか?

全額

ケーススタディで見てみましょう。

親が生きている場合

親1/3(遺留分あり)
嫁2/3

親が亡くなって、兄弟が存命の場合

兄弟1/4(遺留分なし)
嫁4/3

親も兄弟も亡くなって、姪も甥もいない場合

嫁が全てを相続

ここからが、注意するケースです!

親兄弟は亡くなって、姪や甥がいる

甥姪 1/4(遺留分なし)
嫁 3/4

前の嫁の間に子供がいる場合

前の嫁の子 1/2
嫁 1/2

どうでしょう?
嫁が全部相続するためには、夫の遺言書が必須なのです。

「嫁に全てを相続させたい」と考える夫が多いのですが、気を遣ったほうがいいケースもあります

どんなケースか?

自分達が働いて得た資産だけでなく、親から受け継いだ資産があるケースです。
夫に兄弟姉妹がいれば、夫が相続した資産は、夫の死亡で嫁の家系に移ってしまいます。
夫の兄弟姉妹にとっては、面白くない話です。
赤の他人のうちに、自分の親の財産が渡ってしまうわけです。
子供がいないからこそ、夫の親から受け継いだ資産は、夫の兄弟姉妹に相続させる配慮も必要です。

また、DINKSの夫婦、つまり共働きの場合は、どちらが先に亡くなっても相続税が少なく済むよう、資産を均等に持つことが大事です。

なぜか?

相続税対策です。
夫の方が稼ぎが多い場合は、生活費は夫が出し、貯蓄は嫁はという風にします。
名義管理も大事です。
こうしておけば、相続のみならず、離婚する場合にも揉めにくくなります。

また、相続の際に法定相続人を洗い出すときには、生まれてから死亡するまでの戸籍を取る必要があります。
なんと、その際に「昔の奥さんとの子供」や「認知した子供」の存在が発覚することもあります。

離れていても、子供は第1順位の相続人。
「現在の配偶者に全てを残す」という遺言があったとしても、血を分けた子供には法定相続分の1/2の遺留分が保証されています。
もし、そのような事情があるなら、生存中に嫁に伝えておくことが大事です。

子どものいない夫婦での、相続で大事なのこと

よくかんがえよう

相続人の確認資産の洗い出しを行った上で、資産をどう使うか、残すかを、50歳に一度考えておくことをオススメします。
また、子供がいないからこそ遺言を書き、遺言を実行する人についても検討しておく必要があります。

財産の洗い出し、方向性が決まれば、伝える方法を決めます。
相続のことをわからないもの同士が話していてもしょうがありません。
ですので専門家に相談することも大事です。