「あそこのうち、誰も手入れをしないから、草ボウボウでいい迷惑よ。きっと相続がうまくいかなくて空き家になってんのよ」
あなたの近所に、そんなお宅が1軒や2軒あるのでは?
そういうお家の近所に住んでいる人にとっては、朗報です。
平成26年11月27日に策定された空き家対策特別措置法というのをご存知ですか?
放置空家の相続は、波乱含み?!
近所の人には朗報でも、「空き家」を相続して所有者になっている人には、残念ながら朗報ではないようです。
この場合の所有者は、相続でそのウチや建物を貰った人であるケースが多数です。
なぜか?
【理由1】固定資産税の負担がこれまでの6倍?!
それは、放置して要注意の空き家に認定されると、固定資産税の負担がこれまでの6倍にもなるケースが出てくるのです。
相続しても名義人の書き換えのをせずに、ずっと亡くなった方の名義のままの不動産も珍しくありません。
「登記の書き換えをしなければ、固定資産税の徴収は免れるだろう」
そうは問屋が卸しません。
納税義務者の連絡先を調査・ヒヤリングし、課税する部署があります。
ですので、固定資産税の納税者はきっちり更新されており、更にこの情報を空き家対策の調査に使えるように今回の措置でなったのです。
もう逃げ切れません。
【理由2】「行政代執行」で取り壊される?!
レベル2の「勧告」から最終レベル3の「措置」にまで進むと、
「行政代執行」という形で所有者に変わって、行政が建物の取り壊しをします。
もちろん費用は原則、所有者負担です。
行政からしっかりと請求されます
払わないと、財産の差し押さえなど、国税滞納時と同レベルの厳しい取り立ても許されています。
請求の内訳は、作業員の人件費等だけでなく、近所への補償にも及びます。
そもそも、手入れのないまま放置された空き家は、円滑な相続が行われていない「トラブル含みの物件」です。
誰が相続するかを争っていたり、相続人が多すぎて話が進まない、などのケースです。
相続のトラブルが原因で放置されている空き家が、リスク材料になるのです。
使っていない空き家をこれから相続する、あるいはすでに相続した場合、きちんと管理することが大事なのです。
費用をかけて空き家の管理をするか、放置した挙句、最終的には行政から強制的な負担を求められるか?
あなたならどちらを選びますか?
不動産の相続、とくに空き家の相続はトラブルの原因の温床になりがちです。
不動産は、権利関係をシンプルにするのがセオリーです。
兄弟間での共有は、問題の先送りに過ぎません。
その後、兄弟が亡くなったりすると、その権利が他人である配偶者に移り、ややこしさ加減は更に倍になります。
問題を再送りにすれば、延滞税などが乗っかってきて、せっかくの遺産が目減りしていくことになります。
被相続人になるお父さんお母さんと、機会を見つけて話し合いを持たれることをオススメします。