相続の際、「相続しやすいもの」と「相続しにくいもの」があります。
「相続しやすいもの」の代表は、現金。
なぜか?
分けやすいからです。
「相続しにくいもの」の代表は、土地です。
なぜか?
分けずらいからです。
分けずらいので、ついつい「じゃあ、共有で」という話になったという話を聞いたことがありませんか?
土地を「共有」した後の、恐ろしい顛末
ある大地主さんの話です。
大地主さんの相続は、すべてを妻と子供(3人兄弟)の共有にしました。
その後、妻が亡くなり、子供たちが相続、つまり「二次相続」が発生します。
物理的にみんなで分けると土地が小さくなるので、「それなら名義を共有にしよう」という話になりました。
ただ「共有名義にして土地を遊ばせておくのはもったいない!」ということで、アパートを建てようという話になりました。
しかし「そんなもの建てたって、回収に10年かかるぞ」という弟もいます。
そんなこんなしている間に長男が亡くなり、3人の子供に所有権が移りました。
20年が経ち、権利者も7人まで増えました。
何がいけなかったのか?⇒「共有」がいけなかった
「共有」は「問題の先送り」以外の何者でもないのです。
アパートを建てるか建てないか?についても20年も揉めていて、まだ決着がついていません。
はっきりいって、もめている間に回収できた事例です。
誰かが亡くなれば、所有権が子供に移ります。
しまいには、連絡が取れない人が出てくるケースもあります。
誰にも手がつけられない、煮ても焼いてもどうにもならない土地になってしまうのです。
ではどうしたらいいの?解決策3つ
1.共有者の1人が現金で持ち分を買い取る
現金を持っている共有者のうちの一人が、土地を買い取る方法です。
2.土地を分割して1人1人の名義に分ける
一人ひとりの持分が小さくなることを承知で、分ける方法です。
3.不動産を売却して現金を共有者で分ける
不動産を売って、現金を分けるという方法です。
ただし、思った金額で売れなかったり、売り手がつかなかったりというリスクもあります。
どうでしょう?
どのみち、相続当時と同じ方法でしか解決ができないのです。
時間がたっても同じ解決方法しかないのです。
問題の先送りだということがお分かりになるでしょう。
先送りしただけでなく、権利者が増えていたら問題は複雑化する一方です。
ですので、相続時に決着をつけておかなくてはならないのです。
誰しも面倒くさいこと、争いごとは避けて通りたいものです。
でも、そのために次の世代にその面倒くさいことを渡すのはいったいどうなでしょうか?
せっかくの土地(財産)がお荷物になりかねない「共有」は、絶対に避けなくてはなりません。
相続のプロが一番よくないという相続が「共有」なのです。
負の遺産を子供たち、孫たちに引き継がないために、英断が必要なのです。