遠い田舎で離れて暮らす二人暮らしの両親のこと。
いろいろと心配ですよね。
片方が亡くなり、そして、いよいよ両親とも亡くなった。
立地は不便な場所にあるし、上モノも古い。
どう考えても売れなさそう・・。
では、子供たちがそこに住むかというと、息子も娘もそれぞれの暮らしがあり、今住んでいるところを離れて、実家に引っ越すつもりはありません。
さあ、いよいよ誰も住む人がいません。
話し合いの結果「ならば、相続放棄しよう!」と決まりました。
実際、相続放棄は20年前の約3倍にまで増えています。
が、それですべて手離れすると思ったら大間違いです。
子供たちが相続放棄したあと、こんなことが起こります。
兄弟全部放棄した場合
1.おじやおばが相続の対象に
子供たちが放棄した場合は、次の優先順位である叔父や叔母、つまり親たちの兄弟に権利が移行します。
その叔父叔母たちがもしその田舎に住んでいたら、「あのうちの子は、先祖代々のうちを手放して・・」などいわれるかもしれません。
2.誰が相続するかが決まるまでは、自分たちの責任
相続の放棄をした息子や娘は、次の相続人が財産の管理を始めるまで、自分の財産と同じくらいの注意を払って管理を続けなくてはなりません。
「え?どうして?」
下記のような民法のくだりがあるからです・・・。
【民法940条1項】
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、
自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
放っておいて、草ぼうぼう、家が壊れてけが人を出したら誰の責任?というような話、聞いたことありませんか?
空き家は、防犯上の問題もあるため、遠く離れて住んでいる子供たちに直接の困らないけど、近所の人が困ります。
次の相続人が決まるまでは、「放棄した人」の責任になるのは、この条文があるからです。
3.誰も身内に相続人が現れない場合
相続放棄した後に「相続財産管理人選任の申立て」をするしかありません。
「相続財産管理人選任の申立」は家庭裁判所にします。
さらに、お金が掛かります。
財産が不動産だけで、貯金やお金がない場合などには「予納金」が必要です。
金額としては、数十万円から100万円程度です。
なので、差し引きして損になるからといって、申し立て自体をしない人もいます。
自治体が放置された空き家を解体した場合、その請求が相続人のところに来ます。
財産放棄するにも、お金がかかるということです。
相続したくない実家を簡単にサヨナラできるような方法はないのが現実です
親の尻拭いは子供がしなくてはならにシステムになっているので、親子ともに覚悟しておきましょう。
文字通り、ただじゃ死ねないんですね。
残す側は、よく考えて事前に相談しておくのが残された子供たちのためになります。
残された側も、親が勝手に残して言ったなんて事を言わずに、しっかり向き合いましょう。