30年前に離婚して、元旦那さんとの間に2人のお子さんのいる女性の話です。
先週、元旦那さんが「亡くなった」という手紙が、向こうの親戚から届きました。
元旦那さんには借金があったようで、子供2人に相続放棄をしてほしいという旨の手紙でした。
その女性の頭の中ははてなマークだらけです。
そもそも、もうそんな元旦那の親戚と連絡なんか取りたくない。
でも、手続きをしなくてはならない場合があります。
「離婚して籍を抜いているのに、子供たちは財産放棄をしなければならないの?」
もし、離婚後に一切会っていない、どこに住んでいるのか?がわからなくても、
前の親の「子供」として相続人になります。
もらえる相続ならいいですが、必ずしもそうでない場合もあります。
今回のように、向こうの親戚が相続放棄してくれと知らせてきてくれたからいいようなものの、
何も知らせてくれなければ、前の親の「借金」も知らないうちに相続しなくてはならないのです。
借金を残したまま亡くなった親と、苗字が変わっていようが籍をぬいていようが、
子供として相続人になる以上、亡くなった親の代わりに借金を返済しなければなりません。
相続放棄の犯しやすいミス~どう手続きするか知っている?
「親戚に『放棄する』って言ったよ、だからもう関係ないんでしょう?」
その言葉を聞いて、親戚がその旨を載せた「遺産分割協議書」を作ったとしても、それで「相続放棄」は終わりではありません。
それになりに立派な書式なので、これでもう安心と思ったら大間違いです。
残念ながら、「遺産分割協議書」上で相続放棄を宣言しても、それは正式な手続きではありません。
じゃあどうするの?
亡くなった親の住所地を管轄する家庭裁判所へ、相続が開始してから3ヶ月以内に自分で申請します。
相続放棄が認められた場合、相続放棄申述受理「通知書」が、自動的に1通だけ発行されるます。
相続放棄申述受理「通知書」とは、「今回の相続放棄の申し出は、無事に認められました」ということをお知らせするため書類です。
相続放棄申述受理「証明書」は、相続放棄が認められても「自動」で発行されるものではありません。
家庭裁判所としては「相続放棄が認められていることの証明が必要なら、証明書の発行申請をしてください。」というスタンスです。
「証明書」を発行してもらうためには、申請用紙に必要事項を記入して、収入印紙150円を貼り付けて提出します。
債権者などに「相続放棄が完了している」ことをお知らせするためには、「通知書」のコピーを郵送すれば十分です。
相続放棄に限りませんが、相続に口約束は禁物です。
相続は「勝手」にやってきます
行き来のある親ならともかく、行き来の途絶えた親の相続は、間違いなく「勝手に」やってきます。
借金だけではなく、連帯保証人というもっと厄介な「相続」が転がり込んでくることもあるのです。
なので、前の親が亡くなったことを知ったならば放って置くのではなく、借金や連帯保証が自分の身に降りかからないか?調べておくことも大事です。