いつかは直面する親の老い。
介護が必要になって介護施設に預けたり、仕方なく老人ホームに入居させなければならなかったりします。
ですが、親の願いで有料老人ホームに入るパターンもありますよね。
最近は、豪華な老人ホームが増えています。
そんな有料老人ホームは、「財産」と見なされるのでしょうか?
有料老人ホームは相続財産になるのか?
有料老人ホームの契約は、
・賃貸借契約
のどちらかになります。
利用権契約では、入居時に何千万円払っていても、所有権を持っているわけではないので、相続財産とは見なされません。
但し、入居時に支払った入居一時金の扱いによっては、相続財産となるケースがあるのです。
入居一時金とは?
例えば、不動産を借りる時は、最初に敷金、礼金、保証金など、ある程度まとまったお金が必要になります。
それと、入居一時金を一緒にしてしまうわけではありませんが、老人ホームの事業者によっては、金額の幅が変わってきます。
事業者は有料老人ホームを開設するに当たり、土地を取得して、建物を建てていきます。
その運用費に、入居一時金としてお金を集めるのです。
この金額は、事業主が自由に決めることが出来ます。
入居一時金の取り扱いについて
負担者が本人の場合
入居一時金の負担者が本人であれば、有料老人ホームに対する預け金という扱いになります。
ですから、相続が発生した時点で返還される金額が残っていると、返還金が相続財産になります。
負担者が本人以外の場合(贈与が認められるケース)
例えてみますと、息子が贈与契約等によって、親の入居一時金を払ったとします。
その場合は、贈与税の非課税財産の規定によって、扶養義務がある息子が、生活費として認められる入居一時金を支払った場合は、その金額が高すぎなければ贈与税の非課税財産に該当します。
そうなると、贈与税は払わなくていいことになります。
例を挙げてみます。
夫婦で有料老人ホームに入りました。
その際、夫が夫婦二人分の入居一時金を出しました。
先に夫が亡くなった場合は、どうなるか?
妻の入居一時金は夫から妻に贈与されることになるんです。
そのお金は生活費として使われるので、相続税申告の生前贈与加算の対象にはなりません。
負担者が本人以外の場合(贈与が認められないケース)
入居者と一時金負担者との間で、贈与契約がなく、贈与を受けたと認められない場合は、入居一時金を払った時点で、課税関係は生じないことになります。
ですが、入居者が亡くなった場合どうなるのか?
この場合は相続関係はありませんよね。
じゃあ、負担者が亡くなった場合はどうなるのか?
死亡時の入居一時金の返還金相当が、被相続人である入居一時金負担者の相続財産になるのです。
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まとめ
ちょっとややこしいですが、有料老人ホームでは入居一時金を本人が払った場合と、本人以外が払った場合で贈与が変わってくることがお解りいただけたと思います。
親が持ち家で亡くなっても、老人ホームで亡くなっても、相続関係は無くなりませんので、相続や贈与に関しての知恵をつけておく必要があります。