更新日2016/02/10 この記事は約 3 分で読めます。

相続トラブル実例:経営者の相続が近いうちに起きるうちは要注意!遺産持ち出しに注意!

宝石

実際にあった話です。

下町で商売を営む二代目社長と奥さんの相続の話です。
3人息子がいます。

3人の息子には、それぞれ奥さんがいます。
次男と三男が商売を継ぎ、次男が三代目の社長として継いでいます。

二代目社長も社長の奥さんも、まさに高度成長期に懸命に働きましたので、実入りもよかったのです。
働き盛りのとき、社長は社交的すぎて、奥さんは寂しい思いをしました。
その腹いせに、着物、貴金属、毛皮・・・と、今で言う「買い物依存症」に二代目社長の奥さんはなりました。

そんな二代目社長もこの世を去り、後を追うように社長の奥さんも亡くなりました。
商売をしていたうちですので、三人の息子と嫁たちは、お葬式や各種手続きに大忙しでした。

葬式

3人の息子の嫁たちは、二代目社長の奥さん、つまり義母が着物や宝石などをいっぱい買っていたことを知っています。
四十九日も終わり、次男夫婦が二代目社長の家財や財産の洗い出し・・と思っていたら・・なんと着物や宝石がゴッソリないのです。

「え?!」

泥棒が入ったわけでもないのです。
でも、ないのです。
いったいどうしたのでしょう?

犯人は三男の嫁

三男は晩婚だったため、二代目社長奥さんが何かと世話を焼きました。
ですので、二代目社長の家に出入りする機会が多かったのです。

ですので、その出入りの間にいろいろもらったり、もしくは失敬したり・・・でも、問いただしても「知らぬ存ぜぬ」で三男の嫁は通します。
もともとあまり仲のよくなかった次男と三男の嫁がさら悪くなり、疎遠になっていったことは言うまでもありません。

実は、遺産持ち出しの話は本当によく出てきます。

入院

二代目社長と奥さんも、亡くなる前は短期ですが入院していました。
その入院費用を、銀行から出すのは一体誰なのか?
この場合、次男の嫁や三男の嫁です。
この場合は三男の嫁が銀行口座を管理することになりました。
通帳の入っている引き出しに宝石も入っていましたし、知らない間に持ち出すことは容易です。

このように、家族の預金を勝手に引き出したり、不動産の名義を知らないうちに書き換えたり、不動産に無断で担保を設定してお金を借りるなどの手口で
財産、将来遺産になるものを持ち出したりすることで相続が「争い」に発展するケースはよく見かけられます。

「相続で、モメることが多いので遺言を作成するべきです」とは聞きますが、「一体何をどうモメるのか?」は、案外誰も教えてくれません。
モメるのは、こういうポイントです。
でも、あまり表面化しません。

なぜか?
身内の恥を、さらすようなものだからです。

遺産持ち出し期間は長年に渡り、持ち出し額も一般的には高額になります。
何十年の間に数千万円が持ち出されることも、珍しくはありません。
家族分をまとめて管理していることも多い銀行印や実印へは、同居や近居の家族が見るのも簡単です。

ほとんどのケースは、相続をきっかけに問題が表面化します。
二代目社長や奥さんが生きている間に持ち出しがあっても、発覚が相続後になった場合は証拠をつかめません。

バレないのが現実

フェイドアウトした宝石

なかなかバレないのも遺産持ち出しの特徴です。
相続が開始し、亡くなった人の財産の整理をはじめるまでは、バレる可能性が低いのです。
相続が発生すると、亡くなった人の「財産目録」を作成しますが、相続になるまで財産状況を定期的に確認することはまずありません。

財産を細かく見ていく段になって、初めて矛盾点が見つかり、長期間の遺産持ち出しの事実が発覚します。
遺産持ち出しの犯人は、いつでも財布から中身だけを抜き、キャッシュカードを使用した後に元の場所に戻しておけるので、怪しまれることがありません。
少しずつ犯行を繰り返すので、短期スパンでは気づかないのです。

参考サイト

下記のサイトを参考にしました。
家族内ドロボーって何?