今、増加中の「死後離婚」。
夫の死後に夫の親族と縁を切ったり、籍を抜いたりする「死後離婚」。
自分が死んでまで、夫と同じ墓に入るのを嫌がる人が、結構いるんです。
ですが、死後離婚してしまうと、遺産相続はどうなるのでしょうか?
夫が死んだら「離婚届」は必要?
夫が死ぬまで我慢し続けてきた。
夫が死んでやっと自由になれた。
そう思っていても、果たして亡くなった夫と離婚は出来るの?
死んだ夫と離婚する制度は実はないのです。
じゃあ、離婚出来ないの?
いえ、夫が死んだら婚姻関係は終わりますので、わざわざ離婚届を出す必要はありません。
ですから、もうそれは離婚したのと同じ状態になる訳で、もちろん再婚することも出来るんです。
生きている時の離婚とはどう違う?
夫の親族との関係は切れない
生きている間での離婚となると、同時に夫や夫の親族との関係は切れますよね。
では、夫が死んだ場合は、夫との婚姻関係は終了すると申しましたが、夫の親族との関係は続いてしまうのです。
いびられた姑や、嫌味をいう小姑などとも、縁が切れないなんて冗談じゃない!
と思う方もいらっしゃるでしょう。
ですが、唯一夫の親族との関係を断ち切れる方法があります。
それが、「婚族関係終了届」というものです。
「婚族関係終了届」を提出すれば、夫の親族との関係を断つことが出来ます。
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苗字はどうなるのか?
通常離婚では、離婚後、旧姓に戻るか、そのまま名乗り続けるか選択出来ます。
夫が亡くなった場合は、苗字をどうするか?
といった取り決めは特にありません。
ですが、旧姓に戻したいのであれば、手続きが必要です。
「復氏届」を提出します。
これにより、結婚前の苗字に戻すことが出来て、戸籍も別にすることが出来ます。
では、子供がいる場合はどうなるのでしょう?
子供も苗字を変えるには、別の手続きが必要です。
子供の苗字を変える手続き
「子の氏の変更許可申立書」を家庭裁判所に提出します。
そこで、許可が下りたら、「入籍届」を市町村役場に提出します。
妻は簡単なのに、子供はちょっと手続きが大変ですね。
因みに妻は婚族関係終了届を出して、夫の親族と縁を切ることが出来ても、子供は夫の親族との関係は断つことが出来ません。
婚族関係終了届で遺族年金、遺産相続はどうなるの?
遺族年金
遺族年金はもらえます。
但し、遺族年金をもらう権利がなくなるケースは、
・自分が死んだ時
・自分が再婚した時
・自分が養子になった時
・30歳未満で遺族年金のみ受給している妻が、受給権が生じた時から5年経過している時(子供がいない場合)
遺産相続
遺産相続の権利はあります。
遺産相続の権利は、配偶者が亡くなった時点の関係性(相続対象者であるか)で判断されます。
ですから、権利は十分あります。
夫が死んだあとに舅、姑が亡くなった場合は、自分の子ども(舅、姑からみたら孫)に権利が行きます。
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死後離婚増加の原因
夫の死後も舅、姑の扶養義務はあるの?
法律では、生活のために経済的な援助を必要としている人で、扶養する義務を負うのは、原則として直系血族か兄弟姉妹。
となっています。
つまり、嫁である自分が舅、姑の扶養義務はありません。
こういう時に婚族関係終了届が効いてくるのです。
まとめ
死後離婚では、夫と夫の親族と縁が切れる上で、遺族年金ももらえて、遺産相続も受けられます。
今までの努力、我慢は無駄にならない、とうところでしょうか。