長男である夫は亡くなり、それでも義父母の世話や介護をしていたら、長男の嫁として相続に関わることは出来るのでしょうか?
「血のつながり」と「心のつながり」どちらが優先されるのか、ご説明していきます。
長男の嫁の立場
相続人になることが出来るのは、
・血縁関係のある親戚
のみです。
どんなに夫(長男)亡き後、義父母に尽くしてきても、1円たりとももらえないのが長男の嫁。
長男の代襲者になれるか?
代襲者とは「相続人となるはずだった人が、既に亡くなってしまっている場合に、代わりに相続する人」のことです。
夫(長男)亡き後、長男の嫁は代襲者になれるのでしょうか?
答えはNO!です。
代襲者になれるのは、「子ども、孫、ひ孫、甥、姪」です。
長男の嫁に寄与分はあるのか?
寄与分とは「遺産に対して特別の貢献をした人が、自分の貢献を理由にして、より多くの遺産を受け取れることを主張する制度」のことです。
では、長男の嫁がずっと義父の介護をしてきた場合は、寄与分の主張はできるのでしょうか?
答えはNO!です。
これも血のつながった相続人のみに適用されるのです。
長男の嫁って、一体何なの?
他の兄弟姉妹は何もしてないのに権利だけはあるなんて。
何て不公平なの!
と思っても仕方ないことです。
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特別受益
義父が生きている間に財産を受け取っている場合、他の相続人から特別受益はされるのでしょうか?
特別受益とは「被相続人が生きている間に、土地や大きい金額の現金などを受け取った相続人がいる場合に、その不公平さを訴えることが出来る」ことです。
ですがここで肝心なのは、特別受益が問題になるのは、相続人の間のみです。
長男の嫁は相続人でないことで、さんざん損してきていますが、この場合は相続人でないからこそ、特別受益を問題視されません。
ですから、義父が生きている間に、長男の嫁に大きいお金をあげたとします。
それを周りが咎めることは出来ない訳です。
だって、長男の嫁は相続人ではありませんから。
ただ、問題になるケースもあるのでご紹介します。
長男が義父母から土地をもらって、そこに夢のマイホームを建てて住んでいる場合を挙げます。
そこに住んでいるのは長男の家族ということになります。
ということは、相続人である長男もその土地の利益を受けてることになるわけですね。
ですから、特別受益を主張されることがあるわけです。
また、義父母から子ども(孫)にと、100万円を貰って、それを子どものために使った場合でも、利益を受け取っているのは長男の子どもと見なされます。
長男の子どもは、いつか代襲者として相続人になることがあるので、その100万円が特別受益として問題になることもあります。
長男の嫁が相続出来る方法
では、長男の嫁は全く相続から外されてしまうのでしょうか。
実は、長男の嫁でも相続出来る方法が2つだけあるんです。
遺言書
義父母に遺言書を書いてもらうという方法。
遺言書があれば相続人でなくても、遺産を貰える権利が発生します。
養子縁組
もう一つの方法として、義父母と養子縁組する方法があります。
血の繋がりはなくても、法律上は実の親子と同じ扱いです。
ですから、実の子のように、相続人になれるわけですから、養子縁組をしていれば、遺言書がなくても、遺産を引き継ぐことが可能です。
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まとめ
何かと損しがちな長男の嫁ですから、義父母が生きている間に、
養子縁組
の手続きはしておくことがベストですが、実際問題、この2つの方法はあまりメジャーではありません。
やはり中心となるのは、血のつながった相続人になってしまいます。